History 交通サービスを中核に、沿線の快適な暮らしを支えるグループへ
1898(明治31)年、前身となる大師電気鉄道株式会社の創立から120年を超える鉄道事業を中核としながら不動産、レジャー・サービス、流通など、多岐にわたる事業を展開する京急グループ。
その中でも不動産事業の歴史は、沿線地域に暮らす人々の快適な暮らしを支え続けるための挑戦の軌跡でもあります。
1910年代/住宅地開発への挑戦
大師電気鉄道から改称した京浜電気鉄道は、六郷川河畔に火力発電所を建設し、自給自足で電車を走らせていました。この電灯電力供給事業を基盤として沿線への移住を促進、生麦住宅地を造成し、1914(大正3)年に販売を開始しました。それまで首都圏の私鉄が住宅を分譲した前例はなく、生麦住宅地が初の住宅地分譲となりました。
1950年代/本格化する沿線開発
戦後の住宅難という社会的問題の解決に向けて、京急電鉄は1952(昭和27)年に事業部を設置。住宅難に悩む人たちに良質の住宅を提供するために積極的な土地の確保を行いました。まずは、花の木分譲地(横浜市南区)の造成に着手し、1954(昭和29)年6月に販売開始、続いて弘明寺分譲地も同年9月から販売を開始しました。また、富岡地区、杉田地区、上大岡地区でも土地の確保、宅地造成工事が進行、以来、継続して沿線開発に取り組んできました。
1960年代後半/複合化する都市開発
歳月を重ねるとともに宅地開発の規模は大きくなり、富岡地区の分譲地は1,500区画を超える一大住宅地を形成していました。入居が進んだ分譲地では人口が急増し、60年代後半にはくらしを支えるサービスインフラの必要性が高まっていました。京急電鉄は地元の要望に応えるために教育事業に進出し、1970(昭和45)年に住宅地内に京急幼稚園を開園しました。その後、交通、住宅、流通、レジャー関連事業を柱とする複合的な都市開発産業をめざし、人々のくらしに係るさまざまな新事業に着手。品川地区の総合的な市街地再開発の要となるホテルパシフィック東京は、1971(昭和46)年7月にオープンしました。
1970年代/釜利谷地区の開発に着手
京急電鉄は、釜利谷地区の広大な土地を活かして理想的な街づくりを推進するために、1975(昭和50)年1月、釜利谷地区開発チームを発足させました。 三浦半島では最後の大型開発といわれた同開発は、大部分が市街化調整区域にあたることから厳しい規制を受けましたが、1976(昭和51)年11月から、まず排土を搬出するためのトンネル掘削工事などに着手、多くの問題を乗り越えて、1983(昭和58)年5月に第1回の分譲を開始しました。釜利谷地区の新規分譲地は、開発地域内に保存されている歴史的旧跡「能見堂跡」にちなみ、京急ニュータウン金沢能見台と命名されました。その間、1979(昭和54)年には、京急不動産の前身となる京急興業がプライムの名を冠する初めての集合住宅としてプライム赤坂を分譲しました。
1990年代/京急百貨店、YRPの開業
80年代に、横浜市が策定した上大岡駅前の再開発計画に基づき、1992(平成4)年11月から再開発事業が本格的にスタート。京急百貨店は、1996(平成8)年10月1日にオープンしました。約4万5,000㎡という京急百貨店の営業面積は、開業当時、神奈川県下第3位の規模を誇りました。また、京急百貨店と同時に、より若い年代層を視野に入れ、約80の専門店で構成される「ウィング上大岡」をオープンしました。横須賀リサーチパーク(YRP)は、郵政省や神奈川県、横須賀市など80を超える団体、企業とともに計画を推進した情報通信技術研究の開発拠点であり、1997(平成9)年10月に、その中核となるYRPセンター1番館・2番館およびローズテリア(生活支援棟)が竣工し、本格的に研究開発活動を始めました。
2000年代/住宅地・集合住宅開発の大型化
90年代前半に分譲したシティ能見台いこいの街の流れを受け、2004(平成16)年に京急シティ追浜L-ウィング、2005(平成17)年に京急シティ上永谷L-ウィングといったシティシリーズの集合住宅を相次いで分譲。2007(平成19)年には総計画戸数667戸の京急ニューシティ湘南佐島なぎさの丘の分譲を開始しました。2010(平成22)年には京急大師線「港町」駅前に、これまでの住宅事業の集大成として全1,394戸、3棟のタワーマンションからなるリヴァリエの建設工事に着手。先進の高性能制震構造を採用したほか、全国初の災害時用食料備蓄を兼ねたカフェを併設するなど、災害時の安全・安心に徹底配慮した住宅として分譲を行いました。港町駅前には、京急キッズランドやクリニックモールを設けるなど、快適なくらしの実現を目指して京急グループの総力を注ぎ込みました。
2010年代後半/沿線でのエリアマネジメントを加速
神奈川県の高齢化率は、2005(平成17)年に16.9%でしたが、2015(平成27)年には23.9%に上昇しており、一気に高齢化が進行しています。京急沿線においても、人口減少、高齢化が進行している地域があったことから、京急電鉄は2018(平成30年)年に横浜市と協定を締結し、産官学民連携によるまちづくりに着手しました。2020(令和2)年には、三浦半島エリアの地域事業者、自治体などの団体とともに観光活性化コミュニティCOCOON(コクーン)ファミリーを結成し、観光型MaaSや観光DXを推進しています。そうした活動を発展させ、2022(令和4)年から京急沿線エリアマネジメント構想としてCOCOONプロジェクトを開始。沿線のエリアごとの特性に合わせて、その地域のプレイヤーと共同で「滞在環境の整備」、「働く場の創出」、「地域環境問題への取り組み」など地域課題の解決に向けた活動を推進しています。
同時に、品川駅周辺やみなとみらい・関内地区にて複合再開発を手掛け、人とまちの未来に寄与する大規模開発の実績を積み重ねています。
同時に、品川駅周辺やみなとみらい・関内地区にて複合再開発を手掛け、人とまちの未来に寄与する大規模開発の実績を積み重ねています。